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「最大最強の施設参謀」と「最少最弱の施設参謀」のマッチメイク(6/3開催)

セミナー 

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詳細 従来の施設建築のスタイルとは異なり、施設を経営資源と捉え、クライアント企業と強固な信頼関係を結びながらプロジェクトを推進する株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツと創造系不動産株式会社。2016年6月3日(金)に、2社による「施設参謀」をテーマにしたトークイベントが開催されました。

文 / SUZU PR COMPANY・編集 / 介川亜紀・撮影/鈴木愛子(特記以外。写真提供:山下PMC)

スピーカー

■スピーカー

川原 秀仁(かわはら ひでひと)氏
株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツ/代表取締役
木下 雅幸(きのした まさゆき)氏
株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツ/取締役常務執行役員
高橋 寿太郎(たかはし じゅたろう)氏
創造系不動産株式会社/代表取締役

■ゲスト

篭橋 雄二(かごはし ゆうじ)氏
(前)鳥居薬品株式会社(一般社団法人SSCI-Net 事務局長、東京工業大学 特任教授)
朝霧 重治(あさぎり しげはる)氏
株式会社協同商事/代表取締役社長

■モデレータ

納見 健悟(のうみ けんご)氏
株式会社フリーランチ/代表取締役

※スピーカー詳細につきましては、開催要項を御覧ください。

日時 2016/06/03
会場 イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA

最初に、メガプロジェクトを多く手掛け、最大最強の株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツ(以降、山下PMC)から代表取締役社長 川原秀仁氏、少数精鋭で小規模案件に取り組む最小最弱の創造系不動産 代表取締役 高橋寿太郎氏を壇上に迎えました。

本イベントのモデレーターは、土地や建物、企業の施設などに精通した株式会社フリーランチ・納見健悟氏。

「イノベーションが生まれにくい建築・不動産業界において、従来とは違う仕事の仕方をしている山下PMCと創造系不動産です」と、両社を紹介しました。

クロストーク:川原秀仁×高橋寿太郎

まずは川原氏が山下PMCについて「設計・施工は行わず、建設事業におけるマネジメントをクライアントに代わって行う会社です」と口火を切りました。

続けて、新事業立ち上げから、事業戦略、施設戦略、施設運営、事業運営をサポートするといった業務の流れを説明。加えて、「数年の間には、施設建設においてスマートフォンと同じようなことをやりたい。

プラットフォームをつくり、さまざまなソフトをインテグレーテッド(統合)化したいと考えています」と直近の目標を語りました。

創造系不動産の高橋氏は「建築・設計業界と不動産仲介のあいだには壁がある。

この壁が原因で、それぞれのプレイヤーもお客さまも損をしてしまう。

{そこで私たちは、建築と不動産のプロが最初から最後までお客さまをサポートするシステムを取っています」と事業内容を伝え、さらに具体例を出して説明。

「AとBの2つの土地があるとき、ほとんどの人は決めてしまった後で設計者に依頼する。もし、土地を選ぶ際に設計者がいれば、その助言により違う方を選んだかもしれませんよね。これ、実話です。こういうことを防ぎたくて、建築と不動産の仕事を混ぜ合わせてやっています」。

最初に登壇した高橋氏(左)と川原氏(右)

最初に登壇した高橋氏(左)と川原氏(右)

登壇者がステージ前の階段に直に座り、カジュアルな雰囲気でトーク。

登壇者がステージ前の階段に直に座り、カジュアルな雰囲気でトーク。

事例紹介

続いて、山下PMCの事例紹介へと移行。

取締役常務執行役員 木下雅幸氏が施設参謀として関わった製薬会社の施設建替事例を「経営と施設の融合」というテーマで解説しました。

製薬業界の現状や発注の経緯から、2年にも及ぶ長いプロジェクトの全貌を披露。

事例のクライアント、鳥居薬品株式会社 前専務取締役 篭橋雄二氏は「すでに他社の提案で施設の建替計画が進んでいて、私たちの希望と本質的に違っていた。そんなときに山下PMCさんに出会いました。最初は、施設の話は一切せずに2時間、話を聞いてもらった。そこで、30年後の世界をつくるパートナーがいた!と感じました」と両社の出会いを語りました。

「その後、篭橋さんたちと議論を重ね、会社として何を実現するかというミッション、プロジェクトで実現すべきもの、そこに到達するための方針、戦略を考えていきました」と木下氏が言及。

施設をつくる前にプロジェクト関係者全員がベクトルを合わせ、経営戦略を明確にすることがいかに重要かを力説しました。

篭橋氏は「医療・製薬の世界は縦割りで、症状が出てもそこから製品化するのに時間がかかり、患者がどんどん増えることも。症状をやわらげることはできても、治すことができないケースもあります。

私たちは、苦しんでいる患者さんを救える社会にしたかった」と、強い想いがプロジェクトの背景にあったことも付け加えました。

木下氏(右)の語りに聞き入る篭橋氏

木下氏(右)の語りに聞き入る篭橋氏

参加者は、企業経営者、施設運用従事者、建築・設計業界関係者、メディア関係者など200名超。

参加者は、企業経営者、施設運用従事者、建築・設計業界関係者、メディア関係者など200名超。

一方、創造系不動産が紹介した事例は、クラフトビール「COEDO」を手掛ける株式会社協同商事の新工場の設置。

協同商事 代表取締役社長 朝霧重治氏が登壇し、はじめに「COEDO」誕生の秘話やコンセプトの「Beer Beautiful」に基づく戦略などを語りました。

「飲食店でビールを注文するとき、“とりあえず生!”と、ブランドやメーカーの指定もしないのではもったいない。ビールはおもしろい!ということを知っていただきたい」と訴えました。

新工場の設置では、既存の研修施設をビール工場にリノベーションしたいという要望があり、高橋氏を悩ませることに。

「しかし、ムリです、と言えば、COEDOがダメージを受けると思って使命感に燃えプロジェクトに取り組みました。

ところが、ゼネコンには、構造補強が必要で膨大なお金がかかると言われ、頭を抱えた」と高橋氏。

そして、いくつかの方法を検討。一旦は、設計事務所にA案、B案を考えてもらうコンフリクト方式でやろうかと考えましたが、どうもCOEDOには合わない。

かと言って、プロポーザル方式だと一見フェアだけれど、経営に合った判断が下しにくい。

そこで、最終的に、建築と不動産のプロセスを混ぜ合わせようと考え、チーム編成と完成までの運営を担ったといいます。

「最終的に“同時並行設計方式”を採用し、建築士を集めて各チームが同時に検討をスタート。構造、設計、法律をどうするか、既存の工場をどう読解するかなど、個別に課題を考えてもらい、それらを途中で混ぜ、朝霧さんに経営判断をお願いしました。ですので、検討開始から最終案に至るまで2年かかりました」と打ち明けました。

左から朝霧氏、高橋氏、篭橋氏

左から朝霧氏、高橋氏、篭橋氏

山下PMC、創造系不動産双方の事例とも、数10年後を見据えた経営を念頭に置き、施設はどうあるべきかをじっくりと時間をかけて考えて、プロジェクトメンバー全員が納得するぶれない軸をつくりあげていくやり方でした。

質疑応答

事例紹介の後は、登壇者全員による相互質問、会場の参加者との質疑応答へ。

p山下PMCの川原氏から「プロジェクトの中で、施設建築はどのくらいのウェイトを占めていましたか?」と朝霧氏へ問うと、「100年先を見たプロジェクトだったため、半分くらいはウェイトを占めていました。単価の安い商品の工場にどのくらいお金を掛けるべきかという論点もありましたが、ビールは情緒に訴えかける商品なので、リノベーションで美しい建物を引き継げたのが嬉しかったですね」。}

創造系不動産の高橋氏から篭橋氏に対しては、「建替計画が一旦まとまりかけたのにやり直した、とのことでしたが、まとまっていたらそれで良かったのではないですか?」との質問。篭橋氏は「どうしても、苦しんでいる人を救うための事業構造をつくりたかったからです。そして、このプロセスこそが社員を本気にさせ、社員が育つ最高のチャンスだったと考えています」と、プロジェクトがどれだけ意義深かったかを伝えました。

また、参加者からの「一般の設計者が施設参謀のようになるには、どうしたらいいでしょうか?」という質問には、「一旦、設計を忘れることです。長い間培われた建設生産システムを棚卸しして、顧客の立場にならないと何が必要かが見えてきませんから」と川原氏。

高橋氏は「山下PMCさんか創造系不動産に転職するのがいいです」と話し会場の笑いを誘いました。

他にも、登壇者、参加者ともに、トークを聞いて感じたこと、疑問に思ったことをぶつけ合ううちに第一部が終了。

会場にいた全員にとって有意義な学びの時間となったようです。

その後は、1階へと会場を移し、第二部の懇親会へ。

事例紹介に登場した「COEDO」ビールで乾杯し、登壇者と参加者が自由に語り合う貴重な情報交換が繰り広げられました。

大勢の参加者の皆さま、ご来場ありがとうございました!

左から朝霧氏、高橋氏、篭橋氏 左から朝霧氏、高橋氏、篭橋氏

第二部の懇親会は、朝霧氏の音頭で乾杯! 5種類の「COEDO」とそれぞれにあう軽食が提供され、賑やかに歓談がスタート。
(写真:SUZU PR COMPANY)



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